我が家ではオス猫を飼っています。猫は「小太郎」さんといいます。
生後2か月あたりから飼いはじめ、今年2021年6月で17歳になるおじいちゃん猫です。
小太郎さんが成長するにあたり、私は去勢すべきかどうか悩みました。
- 去勢するのは、猫にとって不自然なことでは?
- 去勢するのは、かわいそう?
結論として、小太郎さんは去勢手術を受け、その後も幸せに暮らしています。
私の経験談が、これから猫を飼う人や、猫の去勢について今悩んでいる人のお役に立てると嬉しいです。
猫と人間のしあわせな同居生活とは?去勢について考えた
最初に、去勢を考えるきっかけになったできごとをお話しします。
- 猫は1度にたくさんの子猫を産む
- スプレー行為というマーキング行動
の2つです。
猫は1度の出産でたくさんの子猫を産む
猫は子だくさんです。
個体差はありますが、1度の出産で数匹産むこともあります。
小太郎さんが我が家にやってきたきっかけが、
「母猫がたくさん子猫を産んだので、飼ってくれる人を探している」状態でした。
小太郎が我が家にやってきたのは平成16(2004)年7月下旬。
子猫のもらい手を探しているという話が、友人経由で飛び込んできました。
詳しい話を聞くと、
- 友人の職場の先輩が猫を飼っている
- その猫が子猫を7匹産んだ(飼い主さん、焦る)
- 子猫の貰い手を懸命に探しており、残り2匹の貰い手を探している
- 1匹でも飼ってくれる人がいれば嬉しい
とのこと。
私は猫を飼える環境だったし、いつか猫を飼いたいと思っていたので、1匹もらうことにしました。
もらい手が決まっていない2匹の写真を見せてもらったところ、1匹は美しい白猫で、もう1匹はサバトラ柄の猫。
少し情けない表情のサバトラ柄の猫になんとなく惹かれ、我が家に迎え入れることになりました。
小太郎さんの母猫のように、一度に7匹産む猫もいます。
友人の職場の先輩のように、
猫の妊娠・出産→予想以上に子猫の数が多くて全部飼えない
という例もあることは知っておいたほうがよさそうです。
猫が壁におしっこ!スプレー行為って何?飼い主は困り果てる
スプレー行為というものがあるということをご存じですか?
猫が壁や柱に強烈なニオイのおしっこをかけるマーキングの一種。
小太郎さんがその行為をし始めてからとても困った……という経験談です。
猫を飼うのは初めてだった私。
小太郎さんをもらう約束をした後、ある程度の大きさになるまで、元の飼い主さんのお宅で育ててもらうことになりました。
離乳し、トイレを決まった場所でできるようになったころ、我が家にやってきました。
生後2か月ほどで、両手に乗るぐらいの大きさ。
かわいくて飼い主はメロメロです。
いたずらをしつつも、順調に大きくなってきました。
ところが……
あれは1歳になったあたりだったでしょうか、困った行動をし始めました。
壁や柱におしっこをかけるようになったのです。
たまに私の布団にまでオシッコをかけるように……。
普段はトイレでおしっこやうんちをするのですが、おしっこはトイレ以外の場所で頻繁にするようになりました。
猫のおしっこは強烈なニオイです!
消臭スプレーをかけても、空気清浄機を設置しても、どことなくニオイが残っている状態。
ニオイのある所に、小太郎さんは何度もおしっこをかけます。
掃除もたいへんです。
猫はかわいいけど、悪臭はツライ……
トイレのしつけは済んでいたのに、いったいなぜ?と困り果てました。
猫のおしっこの悩みを獣医さんに相談
獣医さんに相談したところ、おそらくスプレー行為ではないかとのこと。
スプレー行為とは、簡単に言うと猫のマーキング行動。
去勢をしていない猫がする行動の1つで、なのだとか。
※ただし小太郎さんの場合、トイレと同じような姿勢で私の布団に粗相するケースもあり、
スプレー行為と判断しがたいものもありました。
このとき、方法の1つとして獣医さんから去勢を提案されました。
単なるおしっこの失敗ではなく、
猫の発情とかかわりのあるスプレー行為であれば、去勢によっておさまるかもしれないと教えてもらいました。
おしっこのことで困ったら、獣医さんに相談するというのは、あとから振り返ると大正解でした。
このタイミングで去勢することを決断できていれば、私はこのあと数年間苦しまずに済んだのです。
ただ、私は去勢することになんとなく罪悪感を覚えました。
- 去勢することは、猫にとって不自然なことでは?
- 去勢するのは、かわいそう?
スプレー行為は人間にとっては不都合なこと。
去勢して解決したら、人間はラクになる。
一方で、猫にとってはどうなのだろうか?
自分の中で答えが見いだせず、長らく葛藤していました。
自分が猫を飼えなくなったら?猫の幸せを考え、去勢を決断
去勢せずに暮らしていましたが、東日本大震災をきっかけに「人と猫のしあわせな生活とは?」を深く考えました。
その結果、
- 去勢したほうが、自分に万が一のことがあっても、新しい飼い主が見つけやすくなるのでは?
- 野良猫を増やさないことにつながるのでは?
と思うに至りました。
「去勢していない猫」「去勢済みの猫」新たな飼い主が見つかりやすいのはどちら?
去勢しないまま数年が経ちました。
小太郎さんによる壁や柱へのおしっこは、相変わらず続いていました。
そして、2011年 東日本大震災。
幸いなことに私も小太郎さんも無事でした。
室内外で外に出さないようにしていたため、安否確認も容易にできました。
地震をきっかけに、自分も何か世の中のためにできることはないかと考え、
犬や猫の新たな飼い主を見つけるボランティア活動に、少しのあいだ参加させてもらう経験をしました。
そこで自分を振り返り、こんなことを考え始めました。
- もし私に万が一のことがあったら、猫をもらってくれる人はいるのか?
地震でなくても、病気や事故など万が一の事態で猫が飼えなくなることはありえます。
仮にそうなった場合、
- スプレー行為をする、去勢していない成猫
- 去勢済みの成猫
どちらの猫のほうが新たな飼い主が見つかる可能性が高そうでしょうか?
もし新たに飼い主になる立場だとして、外見も年齢も性別も同じような2匹の猫がいるとしたら、どちらを選びますか?
私なら「去勢済みの成猫」のほうが飼いやすそうだと、素直に思いました。
去勢したほうが、新たな飼い主を見つけやすくなり、猫の生存確率が上がるのではないか?と思い始めました。
きびしい環境で生きる野良猫を増やさないことにもつながる
ボランティアの中で、野良猫の生態についても知る機会がありました。
- 野良猫の寿命は3年程度
- 生後半年~1年程度で繁殖可能になる
- 1度にたくさんの子猫を産む
- その子猫もまたたくさん子猫を産み、ねずみ算のように野良猫が増えていく
自然の中で暮らすといえば聞こえはいいかもしれませんが、実際はたいへんです。
野良猫として生きるということは、下記のような生活が待っているということです。
- 水もエサもじゅうぶんに得られない
- きびしい暑さや寒さの中で過ごす
- 交通事故や病気、けがで命を落とす
- ほかの生き物(鳥など)に獲物として狙われる
猫は自然の生き物と思いがちですが、
実際には、人間も他の動物も生きている現代の環境が、猫にとっての生活の場です。
人間と暮らす猫の寿命が15年ほどなのに対し、野良猫の寿命が3年程度ということが、きびしい生活を物語っています。
もし小太郎さんが去勢しないまま脱走したら、どこかでメス猫と遭遇して、きびしい生活環境で暮らす未来の野良猫を増やす可能性もあることに気づきました。
私の戸締りの甘さから、予想外の場所から小太郎さんが外に出てしまったことが過去に何度かありました。
事実、小太郎さんの母猫も、小太郎を含む7匹の子猫を産んでいます。
野良猫の生態を知って、他の野良猫を増やさないためにも、去勢したほうがいいかもしれないと考えるようになりました。
野良猫には野良猫のしあわせがあるのかもしれないけれど……
野良猫より飼い猫としての暮らしのほうが、猫はしあわせだと、個人的には思います。
去勢した後、人も猫も一緒にしあわせに暮らしている
私は下記2つの考えで、去勢することを決断しました。
- 飼い主に万が一のことがあった場合、新たな飼い主を見つけやすくするため
- 厳しい環境で生きる野良猫を新たに増やさないようにするため
去勢手術後、小太郎さんは壁や柱、布団などにおしっこをしなくなりました。
食欲旺盛になったのは困ったものですが、
飼い主も猫も、以前よりしあわせに暮らしています。
去勢後、猫のスプレー行為はなくなった
去勢手術したのは、2012年。
小太郎さんは8歳。猫としては高齢の域に達していました。
獣医さんに伝えると
「もっと早くにしてあげればよかったのに~」
と言われました。
高齢猫ということで麻酔の影響が若干心配でしたが、手術は無事成功。
その後、あれだけ悩まされていた
・壁や柱へのおしっこ
・私の布団におしっこ
がピタリと止まりました。
小太郎さんの場合、布団へのおしっこも含めて、粗相ではなくスプレー行為だったようです。
掃除に追われることも、悪臭に悩まされることもなくなりました。
以前よりも、お互いに気持ちよく過ごせているような気がします。
去勢後の注意点は、食欲増加
去勢後、ただ1つ変化がありました。
食欲が以前にもまして旺盛になりました。
「飼い主ー、ごはんくれ~」とちょっかいを出されることがかなり多くなりました。
ついついあげたくなりますが、ここで飼い主はぐっとガマン。
(↑自戒を込めて)
食事量を管理してあげることが、猫にとって大事になってきます。
まとめ
猫の去勢をすべきかどうか悩んで、
- 猫は1度にたくさん子猫を産む
- 去勢していない猫はスプレー行為をする
- もし自分に万が一のことがあれば、去勢済みの猫のほうが新しい飼い主が見つかりやすそう
- きびしい環境で生きる野良猫を増やさないことにつながる
これらのことを考え、私は猫に去勢手術を受けさせることを選択しました。
結論として、小太郎さんは去勢手術を受け、飼い主ともども幸せに暮らしています。
我が家の経験談をご紹介しました。
人間も猫も、いっしょにしあわせに暮らせるといいですね。
へばの~
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